身を包んでいるのは、最高級の絹(シルク)で織り上げた金に近い黄色の生地に、金糸の刺繍をふんだんにあしらったチャイナドレス。
耳飾りは、純金の金具で「寿」と彫られた下に涙型の翡翠。
手に持っているのは、肌触りのよい柔らかな羽を使った扇子。
その姿は歴代の女皇帝、もしくは歴代の皇帝の愛妃。
そんな格好をしている鷹祢を迎えに来た律は、自分の知らないところで鷹祢がそんなことをしていることに少々腹を立てていた。
しかし―――――・・・。
「ねぇ、どう?」
深いスリットのあるドレスで男にしては細く美しい脚を見せ、まるで誘惑するかのように近付いて来る鷹祢に、律は怒ることを忘れてしまった。
「例え罠だと判っていても誘惑されたいほどの美しさですよ」
「ふふっ、そう?」
律の台詞を褒め言葉と受け取り、鷹祢はなかなか気分のいいものだと微笑んだ。
「・・・誘惑、されてみる?」
「是非」
お互い狐の化かし合いのような駆け引きが、その後の行為をより熱くすることを知っている。
律の即答に近い返事を当然のものとして受け取った鷹祢は場所を忘れて、いや周囲の人間のことを忘れて太腿まで露わにしながら律に脚を絡ませる。
そして律も鷹祢の腰を抱きながら、薄っすらと紅を引いてある唇へキスをする。
「続きは、ふたりっきりでしましょう。これ以上あなたの魅惑的な姿を誰にも見せたくない・・・」
「いいよ。うんと誘惑してあげる」
そう妖艶に鷹祢が笑うと、律は鷹祢の腰に腕を回して支え
周りの視線を気にすることなく歩き出した。
ふたりっきりになれたところで、最初は鷹祢が女帝のように
家臣モドキの律に奉仕させる。
だがある時からそれは入れ替わり、序々に鷹祢は
皇帝に尽くす愛妃のようになって行く―――・・・。
そうして余すことなく今回のお遊びを楽しんだふたりだった。
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