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「あ〜楽しかった。皆綺麗だったしね」
皇紀は満面の笑みで、慣れたように扉の鍵を開ける。
するとそこは、光の降り注ぐステンドグラスのあるチャペルだった。
「皇紀は着なくてよかったのか」
「うん。もし見たいなら魁の前でだけしてあげるvv」
「どんな格好をしていても皇紀は美人だからな」
ホテルの中にあるそこは、今日だけ開放されておらず
急遽ふたりは誰にも内緒で結婚式をすることにした。
結婚式にはつきものの、白を基調とした彩りの花々。
ウェディングケーキや料理、シャンパン・・・・・・それらはひとつもない。
白いタキシードを着た、魁と皇紀のふたりだけ。でもふたりにはそれで充分だった。
「指輪はもらったけど、まさか結婚式が出来るなんて思ってなかった」
「皇紀が望むなら世界中の教会でしてもいいぞ」
皇紀は左手の薬指にいつも嵌めているダイアモンドのついた指輪を外し、魁に手渡す。
そしてポケットから箱を取り出す。
中には、プラチナで出来ていて裏側には皇紀の指輪と同じく“K”と刻印されている指輪。
「じゃあ・・・始めようか。
魁、病めるときも、健やかなるときも、死が二人を別つまでその手を離さないと誓いますか?」
手を握りながら見つめ合って、誓いの言葉を言い合う。
「死んでも離さないと誓います。
・・・・・・病めるときも、健やかなるときも、死が二人を別そうとしてもその手を離さないと誓いますか?」
「誓います・・・。魁、ありがとう」
皇紀の瞳には微かに喜び涙が浮かんでいる。
「ああ、嵌めるぞ」
薬指に、それが当然の姿として戻される指輪。
ステンドグラスからの光が反射して、眩しいくらいに光っている。
そして魁の手にも嵌められると、ふたりは誓いのキスをする。
「皇紀、愛してる」
「うん・・・。俺も魁を愛してる・・・」
再度深い口付けを交わし、魁と皇紀はお互いを強く抱き締めた。
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