朝起きたら――なんて作り話の中じゃ珍しくもないだろうけど、
実際、こんなことが起きたら、そりゃ驚いちゃうよ。
僕と、龍也が動物になってた…なんて、ね。
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「んっ…ふにゃぁ〜」
朝日が差し込むベッドの上で大きく伸びをして…え?
今、僕、「ふにゃあ」って…?
「え? あ…あれ? 何、これ…」
「ん、どうした? 克己…っておい!」
僕を抱いて丸まってるのは、ビロードのような艶のある黒猫。
バーミーズって言うんだよね、確か。
金色の目がキラッて輝いて、とっても野性的だけど…龍也、だよね?
「…克己…だよな?」
「うん、判る?」
「そりゃあ…俺に判らないはずがないだろう?」
そう言われて一安心した。僕も龍也と同じくネコになってたから。
「こんな綺麗な猫はそんじょそこらにはいないしなv」
とさりげなく背中や喉の辺りを舐めながらの全身チェック。
克己の方は、黒猫の俺とは対照的な真っ白な子猫。カラーポイント・ショートヘアーって言うやつか? サファイアのように蒼い眼がそりゃあ綺麗で…。
勿論、こんなシチュエーション。見ているだけで満足できる俺ではない。
「ちょ、ちょっと、龍也、重いよ」
「心配するな。気持ちよくさせてやるから」
「え? あ…ちょっと…ぉ…」
後ろから押さえつけて耳の辺りを舐めあげると、すぐさま身体の力が抜けていく。
「ま、何でこんなことになったかは判らんが、今できることを楽しまないとな」
昨夜も散々泣かされたのに、今朝も朝から鳴きっぱなし。
結局、何になっても龍也には適わない克己らしい。
「次は兎と狼なんてのも面白そうだなv」
「…絶対、イヤ!」
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