朝起きたら――なんて作り話の中じゃ珍しくもないだろうけど、
実際、こんなことが起きたら、驚くに決まってるだろーが!
俺と、飛島が動物になってた…なんてよっ!
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「ふにゃあ〜ん」
余りに情けない声に、我ながら赤面してしまう。
尤も、ネコの状態である今では、それも判りはしないとは思うけど。
「…ホントに、可愛いですね、悟さん。さて、このあとはどうしましょうか?」
「貴様…絶対に後で覚えてろよ…」
「おや? 流石というか…この状態でまだそんなことが言えるんですね?」
「煩い…」
何とか声を絞り出して…あ、でも、ダメだわ。
身体に力が入らねぇ…。
そもそも何でこんなことになってるんだ?
目が覚めたら、俺はネコで飛島は犬になっていた、なんてよ。
ラディの毛並みのアビシニアン。
キャッツアイとはよく言ったもので、綺麗な金眼は精悍そのもの。
但し今は――とろりと溶けたように潤んで、また別の意味で綺麗だ。
「どんな姿でも…悟さんは私のモノですからね」
「だからって…これは何だ!」
「…マタタビですよ♪ 気持ちがいいでしょ?」
といいながら喉やお腹を舐めると、
「あ…くぅ…にゃあ…ん」
可愛い声が絶え間なく零れてくる。
悟さんがネコになっていたというのも驚きだが、私が犬というのも問題ですからね。
何せ…体格の差が人間の頃とはうって変わって異なりすぎ。
私の方は――大型犬のシベリアン・ハスキーなわけで…
こんな状態では、手(前脚)も足(後足)も出せやしない。
だからせめて「マタタビ」で気持ちよくさせておこうと思っただけなのに…
「貴様…足腰立たなくなっただろうが!」
「その方がいいですよ。その姿で出かけたら、
近所の野良猫たちに襲ってくださいって言ってるようなものですからね」
どんな姿になっても、貴方を守りたいんですよ。
「俺が野良猫ごときに犯られるとでも思ってんのか!」
「…保険はかけておいて間違いないですから」
「貴様…引っかいてやる!」
猫のツメは結構痛い。
それを実感する飛島だったりして…?
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