『 イヌとネコ 』

ジーノ&隆幸

朝起きたら――なんて作り話の中じゃ珍しくもないだろうけど、
実際、こんなことが起きたら…誰かの陰謀としか思えない。

俺と、ジーノが動物になっていたなどという茶番は!

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バッシーン!
「ぎゃ…痛っ、何するんだタカ!」
「煩い! お前、今度は何をした!」
「何って…え?」
手痛い起こされ方をして、起こした本人を見やると、
なんとそこにいたのは綺麗なネコ。
エメラルド・グリーンの眼がキラキラと輝くロシアン・ブルー。
まさにロシア貴族が愛育していたにふさわしい、高貴なネコ。

「…タカ? え? どうしちゃったんだ? 何でネコに?」
「って、それを貴様が言う気か!
どーせまたろくでもない薬を試したんだろうが!」
「ち、違うって、そんなこと、(昨夜は)してないって!」
と弁解するオレはというと、
何故かイヌ…ヨーキー(ヨークシャー・テリア)だったりする。
う〜ん、誰の仕業かはわからないが、
オレにしてもタカにしても性格をよく掴んでいるみたいだな。
…って、感心してる場合じゃないか。

「本当に、お前の仕業じゃないんだな?」
スラリとした肢体は優雅そのもの。
ほっそりとして、しなやかで。いやぁ、ホントに綺麗だな、オレのタカは。
「勿論だ。愛するタカに訳のわからんクスリを試すなんてこと、
するわけないじゃないか!」
「ほぉ〜、この前の『桃源薬』とやらは何だったかな?」
「あ、あれは…」
いや、アレは毛生え薬の開発中にできた、ちょっとした精力増強剤で…。
「大体、お前のいうことは当てにならん!」
というなり、スタっとベッドから飛び降りた。
「どこに行くんだ、タカ!」
「研究所に決まってるだろうが!」
ネコだと服を着替えるという手間がない分、タカはさっさと部屋を後にする。

「とにかく、解毒剤が開発されるまで、お前とは寝ないからな!」
「…それは、あんまりだ…」
慌ててオレも付いて行こうとするが――
「ついでに言っておく。いいか?
解毒剤ができるまで、お前は俺の半径3メートル以内に近づくなよ」
と毛を逆立てて言われては…ピタリと足も止まるというもの。
「ふん、どうせならお前の性欲をダウンさせるクスリも作ってやる!
せいぜい、楽しみにしていろっ!」
そう言い放って出て行くタカを見送って、ふと、オレは呟いた。

「ネコの手で、どうやって研究するつもりだ?
アイツ、自分の状況、綺麗さっぱり忘れてないか?」

Fin…?


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Wish  CRIMSON PASSIONS

KatzenGaruten 様
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