May I help your sweet night ?

− 尚樹&祐介 −


なんとなくふわふわとした気分のまま食事を外で済ませて尚樹のマンションに戻ると、祐介はそのままリビングのソファーに沈み込んでいた。
ちょっと変わったお店に行って食事をしただけなのに、なんだか妙に疲れている。
いや、疲れているというよりも、ふわふわとして気持ちがいいのだ。
「…ええ、そうなんです。ちょっとあちこちと出かけたせいか疲れてしまったようで…。はい、できたら少し休ませてから送りたいんですが…」
その一方で、くったりとしている祐介とは反対に、尚樹の方は全く疲れも何も感じていないようだ。どうやら誰かと電話で話しているようだが、時折こちらを見て優しく微笑んでくれるのが祐介にはぽぅっとしそうなほどに心地よい。
(ホントに先輩って…カッコイイなぁ…)
そんな風にうっとりと見つめていたら、
「…え? あ、でも…いえ、それは構いませんが…いいんですか? …はい、判りました。では明日の夕方にはお送りします。はい、それでは」
どうやら電話の方は終わってしまったようで、一瞬、ニヤリとほくそえんだような気がしたが、いつもの優しい笑みを浮かべて、尚樹が祐介の隣に座った。
それを何の気なしに見上げた祐介だが、その瞳がうっとりと情欲に濡れていることなど気が付いてはいないようだ。
そんな祐介の肩を抱くようにして、尚樹はそっと囁いた。
「祐介のお母さんに電話をしておいたよ。祐介が疲れているみたいだから、少し休ませてから送ると言ったら、無理に帰らなくていいから泊まっておいでってさ」
「え?」
「お母さんのお許しがあるんだから…今日は泊まっていってくれるよな?」
勿論そのことに否はない。そして、泊まるということはどういうことなのかも ―― 判っている。
「あ、あの…先輩…」
「先輩はナシだろ、祐介」
「あ…はい…尚樹さん…///」
何度呼んでみても、名前で呼ぶということには馴れない祐介である。そのくせ、すっかり体を預けるようにしなだれてくるのだから ―― 可愛いものだ。
しかし、
(…っと、ここで押し倒してたら…折角の買い物が無駄になるな)
本人には全くその気はないのだろうが、どこかうっとりとしている祐介の姿は誘っているとしか思えない。勿論それが、あの店で炊かれていたアロマ・キャンドルのせいということは、尚樹には判っていた。
ちょっと嗅いだだけでは甘い香りのアロマ・キャンドルにしか思えないところだろうが、実はその香りの中に、ほんの僅かではあったが媚薬効果が含まれていたのだ。
『愛されることを知っている方には、それを感じさせてくれる香りでお迎えします』
そうメールの案内状にも書いてあって、最初は何のことか判らなかったのだが、
(つまり、受専用の媚薬…というわけか。どうりで『2人で』と言うわけだ)
計られた ―― とも思わなくはないが、それもこんなに効果覿面な祐介を見れば、満更でもない。
それに、今の祐介なら ―― 元々、尚樹のやることに否など言わないのだが ―― きっと何でも言いなりになりそうだから。
「…とりあえず、シャワーでもするか?」
そう耳元で囁くと、サッと頬から首筋にかけて朱色が走った。
「あ…は、はい…」
「じゃあ、折角だから一緒に入るか? 何なら俺が脱がしてやってもいいぞ?」
「え? やだっ、自分でできますっ///」
素直なのをいいことにそんなことまで言えば、流石に祐介は恥らって、真っ赤になって飛びのいた。
「くくっ…それは残念だな」
そしていつもなら、それでも巧く言いくるめて思った通りにする尚樹であったが、
「まぁいい。じゃあ、着替えの準備をして持って行ってやるから、先に入ってな」
そう言ってくれたので、気が変わらないうちにと、祐介は逃げるようにバスルームに飛び込んだ。



そして数分後。
先にシャワーをして出てきた祐介と入れ違いに尚樹が入ったが、その時に、
「着替えを出しておいたからな。それを着て、待っててくれ」
そういわれて祐介は、自分より遥かに逞しい身体がバスルームに消えるのを見送って用意された着替えを手に取ったが ――
「え? あ…嘘、これに着替えるの?」
用意された着替えを手に取った祐介は、流石にビックリして暫く固まってしまった。



更に数分後、今度は尚樹もシャワーを終えてバスルームから出ると、そこに祐介の姿は見当たらなかった。
だが、祐介用に出しておいた着替えの籠は姿を消しており、その代わり、祐介が使っていたバスタオルが残っている。
(ちゃんと着替えたんだな。カワイイヤツだ)
おそらく、言われたとおりに着替えたものの恥かしくて部屋で待っているといったところだろう。隠れたって仕方がないことは判っているはずなのに、そんな子供っぽいところは本当に可愛くて。
「折角の湯上りだが…まぁ仕方がないな」
折角のチャンスだからと、尚樹は湯に当たって少しほてり気味ではあったが、セットで買ってきたスーツに身を包んだ。
白のドレスシャツにネクタイを締めて、サスペンダー付きのスラックスにシックな感じのベストと上着を着込む。
それはちょっとレトロな感じでは合ったが、尚樹が着るととても高校生には思えなくて。
そう、寧ろ昭和初期か大正時代の実業家といった感じである。
「完璧にコスプレだな。ま、いいが」
最後に鏡で一応チェックすると、ニヤリと少し意地悪そうな笑みを浮かべてリビングに向った。



尚樹がリビングに向かうと、窓とソファーの隙間から細い足がチラリと見えていた。
「祐介? 隠れてないで、出ておいで」
なるべく優しくそう言えば、おずおずと肘掛の陰から祐介が顔を除かせて、
「せ…尚樹さん…」
「折角着てくれたんだろう? 見せて欲しいな」
そう言って迎えに行くと、真っ赤に頬を染めた祐介が座り込んでいた。
「サイズは大丈夫だったかな?」
「はい…ピッタリです」
「じゃあ見せておくれ」
そう言って尚樹が立たせると、そこに現れたのはとても男には思えない可愛らしいメイドで。
祐介が着ているのは黒を基本とした白いフリルのあしらわれた超ミニのワンピース風で、肩は二本紐のストラップ仕様で背中は腰の辺りまで空いている。腕には共布で作られた手袋止めが、腰には靴下止めが付いており、その先はそれぞれ白い肘上手袋と黒のスーパーロングオーバーニーソックスが続いていた。そして基本ともいえる白いエプロンは後ろでリボン結びになっており、更に頭にはフリルと同じ仕様のヘッドドレスが飾られていた。
それはまるで、某少年漫画に出てくるメイドそのものの姿で、胸がなくても、その可愛らしさは尚樹を喜ばせること必定である。
「可愛いな、祐介。よく似合ってるよ」
その一方で、
自分の姿には自信がなくても、尚樹の格好は本当に良くて。祐介はぽぅっとしたような眼で見入ってしまった。
本当に高校生には思えない、大人の雰囲気で。まさしく ―― ご主人様という感じだ。
だから、
「そんな…せ、尚樹さんも素敵です。若手実業家って感じで…」
「そうか? でも…」
そう言ってニヤリと微笑むと、そのまま祐介を目の前に立たせたまま、尚樹はソファーに座った。
そして
「こんな可愛いメイドが家にいたら、仕事なんかする気にならないだろうな」
「え? あ…尚樹さんっ…!」
そのまま手を引っ張れば、当然祐介の体は尚樹に覆いかぶさるように倒れこんでくる。その不安定なところを上手く利用して自分の膝に跨るように座らせると、祐介は更に首まで真っ赤になって俯いていた。
咄嗟に、捲りあがりそうなスカートの裾を直したかったが、尚樹の腕が祐介の手を掴んでいる。
それならばせめて気が付かれないようにと思ったが ――
「ククっ…悪いメイドだな。ご主人様をユウワクするつもりか?」
そんなことを言って首筋にチュっと口付けながら、尚樹はそっと片手をスカートの中に差し入れた。
「あっ…」
勿論、尚樹の片手が祐介のスカートの中ということは、祐介の腕は解放されているわけなのだが、この体勢でソファーの背に着いた手を外せば、当然尚樹に抱きつく形となってしまう。
それでなくても尚樹の膝を跨ぐような体勢であって、しかも ――
「もうこんなになって…ホントに感じやすいな、祐介は」
用意されていたのはメード服一式。しかし、下着はなかったのだ。
当然祐介のスカートの中は何も身に着けてはおらず、短いスカートの裾では、恥ずかしいことこの上ない。
「や…やだっ…尚樹さんっ!」
だが、そんな祐介の羞恥心など尚樹には可愛いとしか思えなくて、既にゆるゆると立ち上がり始めて蜜を滲ませている鈴口の先端を拭い、その蜜のついた指を舌で濡らすと、尚樹はその指を祐介の蕾に潜ませた。
「ああっ…やっ…はぁっ…」
更に目の前の項から鎖骨の辺りに唇を這わせて、肩紐をずらせば ―― 薄い胸がさらけ出される。
その朱色の突起を転がすように口に含みながら、くちゅくちゅと音を立てながら解していけば、祐介に抵抗などできるはずもない。
「ああっ…やぁっ…尚樹さ…んっ!」
既に慣らされた身体である。尚樹の巧みな愛撫に、祐介の身体は更なる刺激を欲しがって、疼き始めていることは一目瞭然だ。
しかし、
「こういうときは…やっぱりご主人様って呼んだ方がムードが出るな、祐介?」
そういうと尚樹は意地悪そうに蕾に潜ませていた指を引き抜き、自分の膝の上から祐介の体を下ろした。
驚いたのは祐介で、
「…尚樹…さん?」
「違うだろ?」
既に自分ではどうしようもないほどに高められてしまっている祐介である。この疼きから開放してもらえるなら、言いなりになることにも否はない。
「あ…ご主人…さま…///」
とはいっても、やはり恥ずかしいことには変わりはなくて。真っ赤になってそう呟くと、甘えるように尚樹の胸にしなだれた。
「お願いです…もう…欲しい…の…っ」
「…何が?」
「何がって…意地悪しないで…」
真っ赤になって途切れ途切れの声で強請る姿は絶品で、だが、益々苛めたくなると言うものだ。
だから、
「いいよ、可愛い俺だけのメイドだからな。なんでも欲しいものはくれてやる。その代わり…」
胸に取りすがる祐介の体を起こすと、尚樹は意地悪く微笑んだ。
「自分で出して、入れてご覧?」
「え?」
「祐介の好きにしていいよ。ただし、自分で好きにしなきゃ駄目だな」
つまりは ―― 自分で上になれということで。
それがどんなに恥ずかしいことでも、今の祐介には抵抗できる余裕もない。
「な…ご主人さま…」
「そう、今は俺は祐介のご主人様だからな。メイドは自分で動かないとだめ、だろ?」
そう言われて、仕方がなくゆっくりとソファーの前に跪くと、祐介は尚樹のスラックスのジッパーを震える手で下ろし、そこから自分を解放してくれる楔を取り出した。
しかし、
「そのままじゃ、キツイのは知ってるよな。ちゃんと濡らしてからじゃないと、後が大変だぞ?」
それが意味していることも祐介にはよく判っていて。既に硬く屹立しているソレにそっと手を添えると、ゆっくりと丹念に口に咥えた。
ピチャピチャと音を立てながら、まるでアイスキャンディーのように舐め上げて。
それが、可憐なメイド姿なものだから、まさしく奉仕させているとしか思えない。
(いい、眺めだな…流石、俺が選んだだけはある)
そんな悦に浸りながらも、祐介が少し苦しそうにしているのはやはり哀れに思えて、
「いいよ、祐介。さぁおいで」
そう許してやると、そのまま膝の上に抱き上げた。
そして、
「ゆっくりと腰を下ろしてご覧。そう…上手だな」
「あっ…ああっ…きゃあっ! …あっ、ああっー!」
ゆっくりと尚樹の楔の上に祐介の蕾を落とさせると、祐介は全てを飲み込んで妖しく乱れ続けていた。



*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*



『先日はご多忙にも関わらずご来店頂き、誠にありがとうございました。当店の商品をお楽しみ頂き、光栄に存じております。
さて、本日は新製品の入荷となりましたのでご案内をさせて頂きます。またお気に召す商品をご提供できましたら幸いです』
数日後、そんなメールに書かれたURLにアクセスすると、そこにはメイド服だけでなくナースやミニスカポリスの制服、更にはOL風のスーツやチャイナドレスまで揃えたコスプレのカタログが掲載されていて、
「ふぅ〜ん…ああ、これなんか祐介には似合いそうだな」
にんまりとチェックを入れると、通販の申し込みをする尚樹だった。




Fin.


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Wish  CRIMSON PASSIONS

HEVEN'S GARDEN
背景は↑からお借りしています