012 私を探して (久哉×郁巳)


唇にキスして、項にキスして、胸にキスして。
くすぐったい感触にちょっと身じろぎすると、久哉がクスリと笑った。
「恥かしい? それとも、恐い、かな?」
「え…? あ、うん、ちょっと…」
「大丈夫だよ、僕に任せて」
膝の上に抱っこされて背中から抱きしめられて、はだけた胸元に久哉の手が滑り込む。
「あっ…」
プツリと立ちあがった胸の飾りを指の腹で刺激されると、何かヘンな感じがして、自然と息が上がってきた。
硬くなる身体をなるべく久哉に預けようと思っても、そう簡単にはいかないかも。
「可愛いな、郁巳は…。さぁ力を抜いて、僕にもたれるようにして?」
「う、うん…あ…ん…」
なるべく力を抜いて身体を預けると、久哉は項に顔を埋めながら裾を割ってきた。
自分でだってそんな触り方をしたことがないところに、ゆっくりと久哉が触れてくる。
そーっと指を滑らせて、じんわりと握って擦り揚げる。
「あっ…ああっ…」
熱を帯び始めたそこが段々硬くなっていくのが自分でも判る。もちろん、後ろから当たる久哉のモノも熱くなって、硬くなっているみたいだ。
「素直に感じていいからね。どうして欲しいとか、声に出してご覧?」
「う…ん、あっ…はぁっ…ヤっ…んんっ…」
ドクンと心臓が爆発しそうになって、導かれるままに絶頂を迎える。
そして、久哉自身も僕の中に熱い迸りを放っていく。



「大丈夫?」
湯船に使った僕を、久哉はクスリと微笑みながら見下ろした。
「う…うん。大丈夫」
「僕は先に上がるよ。綺麗にしたら出ておいで」
「…判った」
どこか楽しそうな久哉とは裏腹に、バスルームに残った僕は酷く気分が悪い。
久哉に抱かれて、気持ちが良かったのは確かだけど…でも、終わってしまえば自己嫌悪しかない。
酷く自分が汚いモノになった気がして。
これが「レンアイ」? そんなはずはないよね。
『愛してるよ、郁巳。キミは僕だけのものだよ』
囁かれた言葉も、今になればうわべだけのような気がしてくる。
「久哉のこと…僕は好きじゃないのかも」
そうだね。僕も久哉を利用してるだけ。SEXすれば足りない「何か」が手に入るかもって、思ったのは事実だ。



僕の心はどこにあるんだろう?
僕が心から好きになれる人は、どこにいるんだろう?
僕が心から好きになれる「誰か」。
はやく、僕を見つけてよ。




Fin.


2004.01.30.

Melty Dark