シャワーを済ませて寝室に戻ると、祐介は本当にあどけない顔で眠っていた。
「肩が出てるぞ。冷やしたらヤバイんだろ?」
白くて細い肩のラインに、うっすらと残る傷のあと。
昔はリトルリーグのエースピッチャーだったというが、壊した肩の手術の名残だとかいっていた。
普段の生活では殆ど影響はないが、冷やすと痛むことがあるとは聞いている。
だからそっと布団をかけてやると、
「ん…先輩…」
「…困ったヤツだな」
まるで子猫が潜り込むように、丸まってぎゅっと布団を掴んでいる。
「二人きりの時には名前を呼べって言ってるだろ?」
そうは言ってみても ―― 当然、ぐっすりと眠っている祐介には聞こえるはずもないな。
最近、漸く素直に甘えるようになってきて、強請り方も随分上達してきたと思う。
殆ど週末は一緒に過ごしているのだから、当然といえば当然だろうが。
それでも図に乗るようなところは全くなくて、愛しさは更に増すばかり。
極力起こさないように隣に入り、そっと腕に抱きしめれば、
「…先輩…好き…」
「ったく、だから…」
苦笑交じりに寝顔を覗けば、本当に可愛い顔で眠っている。
「ま、いいか」
寝言でも、俺の夢を見てるなら。
そこまで完璧には望まなくても ―― な。
Fin.
2005.01.22.