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 GAME〜reaffirm〜 ◆◆



永が最後に匠と会った日から丸3年以上が過ぎた。

確かに1日1日を積み重ねて来たはずなのに
過ぎてしまえばあっという間だから不思議だと永は思う。

休暇と新しく出来たホテルの視察という名目の下
永は寿とイタリアへ来ていた。
もちろん休暇という意味が大半を占める。

「永、何処を見たい?」

「そうだね・・・どこかでお昼を食べて、近くにyuzukiのショップがあるみたいだから
まずはそこかな」

yuzukiというのは日本人デザイナー・二ノ宮唯月が手掛けるブランドだ。
イタリアで名を馳せたという彼の1号店がふたりの泊まっているホテルの近くにあった。

どのブランドもそうだが、店によって取り扱う品を少しずつ変えている。
yuzukiのデザインは好きでスーツなどを幾つか持っているが
このイタリアの店でしか手に入らない物というのを永は見てみたかった。

つい先週発売が始まったばかりという新作が店内にずらりと並んでいる。
中でも永の目に止まったのは新色という灰色がかった青のセーター。
一瞬で寿に似合う、と確信した。

「ね、寿。これ試着して」

「ん?自分のを買いに来たんじゃないのか?」

「だってこれ、絶対寿に似合うよ。ね、お願い」

永にお願いされると寿は敵わない。
はいはい、と促されるままに試着し、それは永が支払いをした。

「なら俺もだ。これとこれ、ああ、あれも永に似合いそうだ」

そして寿も永に似合いそうな服を次から次へと選んだ。

大荷物になってしまった為、日本へと送ってもらう手続きをしている間
店の一角に設けられたテーブルセットでお茶をいただく。

そこへひとりの客がやって来る。
いや、店への客は結構いるのだが永にとって思いも寄らない人物だったことで
思わず立ち上がってしまった。

「永・・・どうした?」

「・・・あ、うん・・・・・・・・・」

言葉を濁し、ゆっくりと座る永がさっきまで見つめていた視線の先には
ひとりの男がいた。
寿に見憶えのないその男は、寿と目が合うと何故かこっちへ近付いて来る。

「永、こんなところで会うなんてやっぱり運命だと思わないか?」

「・・・・・・・・・・・・匠・・・・・・」

「匠?貴様、何故こんなところにいる?!」

男が匠だと判った瞬間、寿は叫んでいた。

「おいおい、ここ(イタリア)は今の俺の本拠地だ。
なぁ、永。ここなら駆け落ちの続きもしやすいんだが・・・どうだ?」

「・・・また、顔変えたの?」

「いや、これが元の俺の顔だ。惚れ直したか?」

また顔が変わっていて驚いたが、元の顔に戻ったということに
永も寿ももっと驚いた。

「・・・・・・どうして、ここに?」

「ボスの、ああ、ジュリーは知ってるんだよな?ジュリーの父親のスーツを取りにな。
ボスはyuzukiがブランドになる前からの客らしい」

匠は結局、飛鳥とは敵対する組織を抜けることはなかったらしい。
それにはきっとジュリーの存在があったことは想像に難くない。
顔を元に戻した理由も。

「おっと、時間だ。永、俺を選ぶ気になったらいつでも連絡していいからな」

寿の叫びを無視し、永の問いにだけ答えた匠は
こともあろうに寿の目の前で永の唇へ触れるだけのキスをして
さっさと荷物を受け取り、店を出て行った。

「アイツ・・・っ!永に何するっ!!
ああ、もう、アイツって判った瞬間に殴っとくんだったっ!」

寿は一瞬呆然としてしまい、唇が重なる前に引き離せなかった自分を責めた。
そしてはっと我に返ると永の唇をハンカチで拭う。

「ハルカ!」

あまりの展開に寿は未だ匠への文句を連ね、永は複雑な気持ちを感じる。

そこへ、また新たな客が店へとやって来て永を呼ぶ。
知らない青年・・・のはずだった。

「ハルカ、憶えてる?ジュリーだよ。ハルカ、前も綺麗だったけどもっと綺麗になったね」

「えっ?え〜・・・っ?!」

永が驚くのも無理はない。
3年前に会った時より身長が伸び、顔は端整さを増していた。

初めて会った時から何故かジュリーは永に懐いているようで寿は面白くない。
しかも今綺麗になったなどとさらりと言うし。
もちろん寿は心の中でそれは俺が永を大切にしているからだと呟く。

「憶えてるけど、えっと、ジュリーって幾つ?」

「17になったよ。ね、今遼一来なかった?」

「17?!・・・ってことは、前会った時って14歳?」

あの時に高校生くらいだと思っていたジュリーの年齢を聞き
外国人の遺伝子はすごいかも、と思ってしまう。

「アイツならたった今出てったぞ。こともあろうに永にキスしてな!」

「え〜っ!もう、また逃げられた!キス?ハルカいいなぁvv」

「よくない!!アイツを捕まえて2度と永の前に顔を出すなと言っておけ!」

「ハルカやヒサシと遊んでないで、僕とも遊んでよっ!って言ってみる。
じゃあ“また”ね」

嵐第2弾が過ぎ去ると、寿はもちろん永も妙に疲れた気分になる。

「・・・・・・ジュリー、またねって言ってたけど・・・」

「まさか日本に来るんじゃないだろうな、あの男連れて」

そう考えるとショッピングを続ける気にはなれず、ふたりはホテルへ戻ることにした。


「・・・・・・ん・・・っ・・・、ひさ・・・・・・っ」

部屋に辿り着くと、寿はすぐに永を抱き締めてキスを仕掛けて来た。
本当はもっと早くに、永の唇を消毒したくて仕方なかった。
だが外では永がキスに没頭することはないし、何より後で拗ねられるだろうと考えて
ホテルまで我慢したのだ。

「永・・・永のこの唇も、身体も、そして心も俺のだろう?」

舌を深く差し込み、たっぷりと唾液を絡ませ合いながら永から
あの男の感触を拭い去るようにする。

合間にはもちろん、興奮を誘うような台詞を吐きながら。

「あ・・・・・・、う・・・んっ・・・寿の・・・寿のだよ・・・っ・・・」

永が寿の望む答えを荒く呼吸しつつ告げると、ご褒美とでも言うように
更に濃厚なキスが与えられた。

まだ暗くなるのは早いが、ふたりにとっては時間など関係ないらしい。
ベッドが眠る為ではなく愛し合う為の場所に変わる。


寿が丁寧に一から快感を教え直した永の身体は
寿の望む通りに反応し、従う。

「あぁ・・・っ、・・・寿・・・・・・っ!」

胸の飾りがじんじんとするくらいまで弄られ、少し前からは
寿を受け入れる場所を舐められ、唾液とジェルに塗れた蕾は寿の指を含んで
永の分身は蜜を零していた。

「永、どうして欲しいか・・・言えるだろ?」

「・・・ん、・・・寿、寿の・・・入れて・・・っ!永の中・・・!お願い・・・っ」

うつ伏せでお尻だけを高く上げていた永は、限界まで脚を広げて強請った。
寿の熱、鼓動を身体の1番奥深くで感じたくて。

寿は永の身体を抱き合えるように反転し、脚を抱えてゆっくりと繋がる。
永の腕が寿の首へと回り、無意識に引き寄せると寿は腰を進めながら
唇を塞いだ。

「は、ぁ・・・っ、・・・寿・・・好き・・・あっ、あぁ・・・っ・・・」

「・・・・・・永・・・永・・・・・・っ」

永は知っているだろうか、と寿は思う。
こんな風に抱き合っている時、永が腕を首に巻き付けぎゅっとしがみついて来ることを
密かに喜んでいるということを。
こういった何気ない仕草が、永が寿のことを恋人として想っている証だと
らしくなく感動していることを。

永を快感の波に酔わせながら、寿は再確認していた。
自分の唯一は永。
守りたいのも、一緒に年月を重ね共に並んで歩いて行きたいのも
永以外の存在は有り得ない、と。

そして出来れば永もそう願ってくれていればいいと思った。


End

すっかり匠派(勝手に派閥を作ってる?)の浅葱が
「今後も永にちょっかい出して、寿に嫌がらせして!」とお願いしたところ
本当に書いていただいちゃいましたv

フフフ、やっぱり言ってみるものだ。(←ヲイヲイ)

皐月様、いつもありがとうございます!


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