01:優しくしたいと思ったのは、初めてだったんだ。(闇海+青眼)


「本当に…眠っているときは可愛いのにな」
そう呟いて栗色の髪に口付けたが、どうやら海馬は目覚める気配もなかった。
いつもなら、こうやってベッドサイドに近づいただけでも目を覚まして身構えるのが常なのに。
その枕の下には、いつものように銃が忍んでいることだってお見通しだ。
でも、流石にここ数日のハードワークはきつかったらしい。
元々透けるような白皙は病的なまでの青白さまで感じるし、静かに閉じられた瞼の下には、うっすらと隈まで浮かび上がっている。
折角の美人が台無しだぜ?
「全く、こんなになるまでムキになることもないだろうに」
確かに社長業で忙しいのは判っている。
でもそれだって、もっと他の人間に任せられるところはあるはずだ。
それなのに ―― まるでそれは何かの罪滅ぼしとでも言うように自分を追い詰めて。
その上、自分の体の限界だって気が付いていない。
尤も、ここまでクタクタになって倒れこむことができるのも、
「グゥルルル…」
「心配するなよ、ブルーアイズ。今日は…何もしないぜ」
絶対主従のしもべが見張っているから ―― なんだろうな。
本当なら、即刻バーストストリームで排除したいところなんだろうけど、折角眠りに付いた海馬を起こすのも忍びないんだろう。
絶対のしもべ達は、威嚇だけで襲ってくることはなかった。
(全く、こいつらも海馬にはほとほと甘いぜ)
だが、
眠っているときだけは、本当に可愛い海馬。
こんな姿を見せられたら、酷いことなんてできやしない。
いや、寧ろ ――
「眠っているときくらいは ―― 優しくしてやるか」
そう呟いて、そっと抱きしめた。





Fin.

…そして、目が覚めた途端に銃撃されるに100円賭けます。(苦笑)
というか、「優しく〜」と言いながら、結局起こしてしまうに、100円の方が勝率高いかな?

「優しくする」の意味を間違えてます、ウチの闇様。


2007.02.12.