07:信じたことない永遠を願ったよ(闇遊戯×海馬)


「永遠を信じるか ―― だと?」
不意にそんなことを尋ねてみると、海馬は思いきり怪訝そうな顔をした。
そもそもは、テレビのドキュメント番組を見ていて思ったんだ。
それはどこかの古代文明の特集で、古代人は永遠の繁栄を信じて遺跡を建造したとかいう解説を耳にしたからだ。
確かに、その遺跡は今もなおそこに存在しているという。だが既に滅んだ文明にとって、それは永遠の象徴になりえるのかとふと思ったからだ。
ところが、
「貴様、永遠という意味が判っているのか?」
それまでは俺の存在すら忘れたかのようにパソコンに向かっていたはずの海馬が、その視線を俺に移して聞き返してきたので ―― 途端にヤバイと、俺の内心で黄色信号が点灯する。
こういうことでは、海馬の博識に俺がついていけるわけないからな。
案の定、
「えーっと…いつまでも続くとか、変わらないっていう意味だろ?」
「…20点だな」
「え?」
「その回答では、赤点だ」
そう言ってフフンと少し唇を上げて鼻で笑うと、海馬は改めて俺の方に向き直って腕を組んだ。
「永遠とは、時間を超えて存在する、持続するということだ。時間を超越して変わらないということでもある。また、哲学においては普遍的真理のようにその意味や妥当性が無時間的であることを意味する。神やイデアのように超時間的に存在することも含まれるな」
「そ、そうなのか」
さらりとその博識の一端が披露されるが、生憎、俺にはその半分も判りはしない。
いや、俺が最初に言ったいつまでも続いて変わらないということとどこが違うのだろうとも思うのだが、そんなことを蒸し返せば、更なる御高説が降り注ぐのも判っている。
だが、こういうときの海馬はまた一段と綺麗だ。
他の奴が同じことをすれば、知識をひけらかす様で気分のよいものではないはずなのに、何故か海馬だと、それが厭味じゃないから、不思議だぜ。
しかし、
「…ということで、俺は信じてはおらん」
あっさりと否定されて、俺は我に返った。
「え? 」
「変わらないものに興味はない。俺なら、変えようとする力の方が信用に値する」
そう宣言する海馬は ―― まさに、邁進する戦女神だ。
そうだった。その場にとどまることを良しとはせず、常に先を見据えて進むお前に、変わらないものは意味がない。
常に、過去よりは未来へ。昨日よりも今日、今日よりも明日 ―― 。
立ち塞がるものはなぎ倒し、闘って勝ち取ることを糧として更に進む闘神のような存在。
そのためには、昨日よりも強く、今日よりも強くと
「…確かに。お前ならそうだろうな」



でもな、海馬。
その生き様こそが永遠だとも言えるんだぜ?
そして ――
そんなお前に、俺は永遠に恋い焦がれるんだ。





Fin.

常に前進あるのみ、の社長ですが、それでもやっぱり「同じ」ではないと思います。
昨日よりも今日、今日よりも明日 ―― 常に上昇を怠らないと。
なので、同じことをただ続けるというのとはちょっと違う、と。

そして、勿論。社長の美貌は永遠です。(←これは決定事項!)


2007.10.07.