09:君を傷つける全てのものから守ろう(青眼)


「行け、ブルーアイズ! 滅びのバーストストリームっ!!」
振り下ろされる指の先まで華麗な主の命に、我達の力も漲りを感じる。
例え敵が幾万いても構わない。
どれほど強大であっても恐れはしない。
この主と共にあるというだけで ―― 負ける気は微塵もない。
「見たか! これが我がしもべの力。その身をもって思い知るがいいっ!」
そう宣言して高らかに笑う主の姿は、まさに常勝必勝の女神のようだ。
いや実際に、この主とともに戦うことに敗北はありえない。
ただ一人の存在を除けば。



「オレの勝ちだぜ、海馬」
フィールドから強制退場となった瞬間、忌々しい紅葉頭はそう宣言した。
その瞬間、主と我達が敗北したことを認識させられる。
「くっ…判っておるわっ!」
敗北の瞬間の呆然は、ほんの一瞬。
すぐに気を取り戻した主は、潔く認めながらも唇を噛む。
その表情も口調も悔しさを隠しきれないはずなのに、どこか艶っぽく聞こえてしまうのは、気のせいばかりではないところだろう。
判っている。主がこの男をどう思っているのか ―― などということは。
だが、
「じゃあ、約束だぜ、今夜はオレに付き合う ―― な」
「フン、この物好きが。抱くのなら女の方が良かろう?」
「判ってないな、海馬。俺は、お前がいいんだ」
そう言って手の甲に口づければ、主は白皙の頬をサッと赤らめた。
「…シャワーくらい使わせろ」
「いいぜ。行って来いよ」
自分は済ませてきたからという奴が余裕すら見せつけるようにそう言うと、主はクルリと背を向けてバスルームに消えていった。
と同時に、残されたデッキから我達が出現するのを、奴も薄々気がついていたようだ。
「心配するなよ。酷いことはしないぜ、多分」
「グルルルル…」
「ちゃんと3時間は寝かせてやるつもりだぜ。モクバにも、ここのところ睡眠時間が足りてないって聞いてるしな」
「グゥルルル…」
「傷なんか付けないし、痛いこともしない(と思う、多分;)」
「グルルル…ルルル…」
「それに、海馬にだって気持ち良くさせてやるぜ?」
「グゥ…キシャーっ!」



「ちょっと待て。キスマークは傷じゃないぞ。いいじゃないか、このくらぃ…うわぁぁぁ!」



わが主に触れることができるだけでも望外というのに、痕を付けるだと?
そのような真似、許せると思うかっ!





Fin.

キスマークって、要はうっ血ですから。はい、立派な「キズ」です;
(キズものとはまた別の意味ですね)

ということで、自分たち以外のやつが海馬にマーキングなんぞ許せんっ!と。
青眼としてはそんなノリ?(苦笑)


2007.11.11.