青02:同罪(闇遊戯・闇バクラ)


「ああ、抱いたぜ」
ニヤリと邪悪な笑みを浮かべて、ヤツはぬけぬけと言い放った。
「相変わらず、いい抱き心地だったぜ、昔と変わんなくてよ」
「昔?」
「ああ…って言っても、王サマには覚えがないか? クックックッ…」
それが ―― 俺の失われた過去を言っていることはすぐに判った。
失われた過去で、そこでも俺はアイツと逢っていたのか? それをこの男は知っている。
「聞きたいか?」
本音は聞きたいし ―― 知りたい。しかし、
「貴様が ―― 真実を言うとは思えない」
「真実とは、誰にとっての真実だ? アンタにか? それとも瀬人 ―― セトにとってか?」
セトという響きが、酷く胸に突き刺さった。
何だ、この感覚は? それが、あのレリーフの神官の名前 ―― かつての海馬の名前なのか?
酷く懐かしく、もどかしく、そして息苦しい。思い出せないということがこんなにも苦しいのは初めてかもしれない。
しかし、そんな俺の様子など気にもせず、ヤツは
「まぁいいさ。探し物はテメェで見つけな。それに…」
獏良、いや今は闇の人格であるバクラは、ふてぶてしいまでの表情に一瞬、苦笑のようなものを浮かべて呟いた。
「アイツに関しては、テメェも俺サマも同罪だろ?」
「…どういうことだ?」
「俺はアイツをセトの代わりに抱いた。テメェも、忘れてはいてもそうだ。そして ―― 」
ざわっと一陣の夜風が吹き抜ける。
「テメェも俺サマも、やがては消える」
そう、消える。いや、この身体だって元々俺のものじゃない。それはバクラもそうだ。
本当は孤独に絶えられないほど脆い海馬を、やがては置いていくのは俺もお前も同じ ―― 同罪。
連れてはいけないことは判っている。それでも求めてしまって、手に入れたのは俺だ。
恐らく、海馬の心を傷つける。あの気高く、孤高なガラスの心は、俺が消えうせたら ―― 。
「でも、俺サマは手を引く気はないぜ。一度狙った獲物は逃がさない。例えアイツを泣かせて、壊すことになってもな」
「俺も…引かない。貴様には渡さない」
「フン、まぁそう来ないとな。盗賊王としては、奪うのが生きがいなんでな」
そういうと、ヤツはふっと姿を消した。
ただ一言を残して。
―― 盗人と王サマが同罪とはおもしれぇよな。クックックッ…






Fin.

カタカナ表記のバクラは、闇バクラ君です。
実は原作をまだちゃんと読んでいないので古代編は良く判らない…。
でも、うちの盗賊王と神官様はやはりご関係があったことになってます。
一歩間違えれば犬○叉の奈落と桔梗…(それはない!)
しかし、瀬人を巡っての三角関係は面白いかも(酷っ!)
城之内君とだと…勝ち目なさそうだもんね。
しかし、社長はもてもてだわ♪(ちょっと違う?)

2003.09.15.

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