青16:パラノイア(闇バクラ×瀬人)


「社っ長〜♪」
最新セキュリティもなんのその。全て黙らせたまま最上階に忍び込むと、オレ様は愛しの社長に抱きついた ―― 気分だけは。
―― カチャ
乾いた音と共に、目の前に鋼の銃口がピッタリと押し付けられる。
「それ以上、近づいたら撃つ」
「あのな〜」
とオレ様が手を伸ばそうとすると、
―― ドギューン !!
間一髪で避けたからいいものの…おいおい、壁に思いっきり穴があいているぞ。下の連中になんていうつもりなんだ?
「近づいてないだろうがっ!」
「動くヤツが悪い」
「…マジ?」
ここは一応、法治国家の日本だろ? しかも、世界的にも有名な海馬コーポレーションの社長ともあろうやつが、銃の乱射なんかして問題にならんのか?
しかし、当の狙撃手は、
「寄るな、狂犬。次は本気で狙うぞ」
って、今だって本気だったくせに。
だが、
「フン、殺れるもンなら殺ってみな?」
「貴様…」
わざとせせら笑えば、蒼い瞳が更に色を濃くする。
極上の ―― 蒼天の色。オレ様の一番お気に入りのSapphire Blueだ。
この眼を見るためなら、命がけのゲームでも構わないぜ。
尤も、欲しいのはこいつの全て ―― なんだけどな。



暫くは、にらみ合ったままの駆け引きが続く。しかし、
「フン、貴様になど、弾の無駄だわ」
そういうと、ヤツは引き金を降ろし、再び何事も無かったかのように仕事を再開した。
オレ様との駆け引きに時間をかけるより、その分少しでも仕事を片付ける方がいいらしい。
ホント、こーゆートコは相変わらずなんだよな。
「で、何をしに来た?」
デスクに置かれたノートパソコンのキーボートを叩きながら、海馬は惰性のように尋ねた。
「勿論、愛しの社長に逢いに♪」
「…やっぱり殺してやろうか?」
「ひでぇな。こんなに尽くしてるのに…」
「やっぱり殺す」
だから、銃を手元に置くのはやめろって。
ま、例えマジで当たって死んだとしても、こいつの代わりに自首するってヤツならゴマンといるんだろうけどな。


蒼天の瞳を持った天使の姿の死神に、トチ狂った妄想狂(パラノイア)が堕ちて行く。
それを ―― 本能で知っているコイツ自身も、偉いタマだぜ。
そうやって、何人の男を ―― 人間を狂わせるつもりだ?


ま、オレ様もそのうちの1人だけどな。






Fin.

何か…訳わかんない話になってしまった。
パラノイアって妄想狂とか偏執狂っていう意味でしょ?
なんか…違う話になってしまった気がする。
ま、いいか。(←いいのか、ヲイ!)

2003.11.10.

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