青18:コンクリ(闇バクラ×瀬人)


宿主が取っているその日の朝刊に、外国のなんとかって言う失われた古代都市の遺跡から、1体のミイラが発見されたというニュースが載っていた。
保存状態はかなり良好。
恐らくその都市の有力者だったと思われるその遺体は、かなりの貴金属を身につけて埋葬されているとか。
墓荒しの被害も免れていたとかで、他の埋葬品もほぼ完全なままで残っていたらしい。
フン、死んだヤツに宝なんかやったってしょうがねぇだろ。そういうものは、せいぜい生きてるうちに使うもんだぜ。
ま、俺サマの手に入らねぇものなら、どうでもいいがな。
だが ――
ついでのように書かれていた一行が、一番心に残った。
―― ミイラの棺には、恐らく野菊の一種と思われる小さな花束が収められていた ―― と。



「ロマンだと思わねぇ〜?」
いきなり仕事の邪魔をしに来たと思えば、わけのわからないことを言ってバクラは擦り寄ってきた。
「きっと、恋人がさ、先立った相手を偲んで棺に入れたんだぜ」
…この男が、顔に似合わずロマンチストだとは思わなかった。だが、
「俺もさ、社長にもしもの時には花束を入れてやるからよ」
という申し出には、即行で
「却下」
「え〜なんでだよ。俺サマの愛情だぜ、受け取ってくれよv」
「ええいっ、気色のワルイコトを言うなっ! 大体、なんで俺が先に死ぬ !? 心配せんでも貴様を先に殺してやるわっ」
―― ドギューン!
すぐさま有言実行 ―― しかし、紙一重で交わされて、鉛の弾は社長室の壁にめり込んだ。
「避けるな! 壁が傷つくだろうが!」
「んな、無茶な…」
「煩いっ!」
…いかん、どうも死ぬの生きるのという話になると気分が苛々としてくる。
人の生死など先の判らんものは、はっきりいってキライだ。まぁ俺が死んだところで、悲しむのはモクバくらいだろうが ―― だからこそ、俺はモクバを置いては死ねんしな。しかし、
「大体、死ねば人間の身体など単なる肉の塊だ。俺はそんなものを残す気はない。KCなどはモクバに残してやるが、俺自身などこの世からキレイさっぱり消去してやるわ!」
と言い放てば、バクラは一瞬、眼を疑うような驚きの視線を向けて俺を見た。
(少し…いいすぎたか?)
しかし、そんな俺の心配は一切杞憂というヤツで、
「…そんな…そんな勿体ねぇことは絶対させねぇからなっ! コンクリート詰めにしてでも、俺サマが保存しておいてやる!」
「するなーっ!!」



ったく、社長ってば、相変わらずの我侭なお姫様だ。
…しょーがねぇな。じゃ、生きてるうちにしっかり愛情をかけておいてやるさ♪






Fin.

…もう、無理やりお題にあわせてるとしかいえないな。
せめて石膏の人形の中にしましょうね?(それも違う?)
最近…うちのバクラも壊れてきた気がする…。

2003.10.18.

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