緑01:着信履歴(闇バクラ×瀬人)


―― PPP…
本来の住人は会議中だとかで席を外しているKC本社の社長室。
その応接セットのソファーで、思いっきり羽を伸ばしていたバクラの耳に、聞きなれた電子音が飛び込んできた。
見れば ―― 主のいないデスクの上に投げ出された携帯電話が、一生懸命来客を告げている。
「ったく、うるせぇな。社長はいねぇって言ってんだろうが?」
と、かけてきた相手には聞こえもしない罵声を浴びさせてとろうとすると、その瞬簡にピタリとなりやんだ。
「フン、このくらいで諦めるとは、根性なしめ」
と文句を言いつつ、画面を見ると ――
「…なんだ、御伽? 珍しいヤツからだな」
なんで御伽が海馬の番号を ―― と思うと、ふと悪戯心がむくむくとわきあがって、バクラは携帯の着信履歴を明けてみた。



―― ○月×日 17:30 御伽龍児
―― ○月×日 17:00 武藤遊戯
―― ○月×日 16:45 城之内克哉
―― ○月×日 16:40 武藤遊戯
―― ○月×日 16:30 城之内克哉 …



「社長! なんだよ、これっ!」
会議から戻ってくるなり、そういえばコイツが来ていたかと思い出した海馬は、わめく狂犬を冷たく見下ろした。
「…何故貴様がオレの携帯を持っている?」
「あ? だってここにあったから。ってそんなことより、この履歴、なんだよ!」
知らない名前も気になるが、知ってる名前がこうも連発されると、流石に面白くはない。しかも、相手はいろんな意味でライバル視している王サマと凡骨。
「なんでヤツラから着信がこんなに入ってんだよ?」
「知るか、そんなこと。かけてくるやつに聞け。大体、勝手に他人のものを触るな」
と言っても、コレばかりは元盗賊王には効果はないと確信している。
だから、実力行使で取り上げると、急にシュンとした感じでバクラはがっくりとうなだれた。
「だってよぉ〜オレ様がぜんぜんねぇじゃん…」
そんなバクラに、海馬はデスクについて思いっきりため息を吐いた。
「…馬鹿か貴様は? 携帯なんぞにかけてくる前に、いつも押しかけてくるヤツが何を言う?」



たまにはアポを取ってから来いと、毎回押しかけるたびに言われているバクラ。
「そう言やぁ…かけるよりも来ちまったほうが確実だもんな」






Fin.

御伽君の電話はあくまでも仕事の関係。
闇様と城之内は、勿論、アプローチです。

2003.12.17.

Silverry moon light