赤10:弱音(闇遊戯×海馬)


「もしも俺がいなくなったら、お前はどうする?」
散々人の身体をいい様にしておきながら、そんなことを呟く遊戯に腹を立て、俺はヤツをベッドから蹴り落した。
「清々するに決まっとるだろーが! この戯けめっ!」
「って、痛ぇな、海馬! 蹴ることはないだろっ!」
人がマジメな話をしているのにとか何とか呟いているが、ええい、煩い!
そもそもの質問事項が悪いわ!



ここにいる遊戯は、世間一般に知られている「武藤遊戯」ではなくて、3000年前のファラオの魂だとか言っているが、そんなことはどうでもいい。
今、この場にいるのが貴様であって。
今、この場にいるのが俺なのだから。
実体とか、本当の名前とか、そんなものが何になるというのだ?
ここいいるか、いないか。
全ては「0」か「1」だ。



「そのような戯言に囚われているようなら、貴様は二度とここに来るな」
めくれ上がった布団を頭から引っかぶって、俺は床にヘタレている遊戯に背を向けた。
「弱音を吐くようなヤツを俺はライバルとは認めん」
「海馬…」
「フン、貴様への関心も今のでなくなった。そんな弱音を吐くようなヤツの存在など、綺麗さっぱり忘れてやるわっ!」
といいながらも、無性に腹が立ってきた。
そもそも、こんなヘタレなヤツをライバルと認めていたというのか、俺は?
許せん! この海馬瀬人を愚弄しおってぇ〜!



「…ごめん、海馬」
ベッドに腰掛けて、遊戯の手が俺の肩に触れてくる。
いつもと違って少し躊躇いがちなのが更に腹立だしいが、それでも声はしっかりしてきた。
「悪いな。ちょっと不安になって…だってお前みたいな美人を置いていったりしたら、心配だもんな」
「…何を言っている、貴様?」
嫌な予感がして振り向けば、そこにはいつもの忌々しいほど自信に満ちた赤い眼が光っている。
更には、
「あ、さっきのお前の台詞も訂正しろよ。俺たちは『ライバル』じゃなくって、『ラブラブ・カップル☆』なんだからな♪」
「ば、馬鹿なことを言うなっ! 誰が貴様と ―― 」
「と言う訳で、も一回愛を確かめあおうぜ♪」



こんな綺麗なお前を手放したりなんかはできないから。
側にいるためには、常に強く。
弱音すら言えないお前を守るのは ―― 俺だけだから。



「愛してるぜ、海馬♪」
「…煩い、死ね!」






Fin.

…訳わかんないのがとうとうここまで来ました。
結局…なんだったんでしょう?
ま、いいか…(っておいおい…:;)

2004.02.02.

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