赤12:不規則(盗賊王×神官)


自称盗賊王と名乗る公的には敵であるアイツと、最後に逢ったのは2週間前。
それまでは殆ど毎日 ―― 毎晩やってきて、散々人のことを好き勝手していたくせに、不意に来なくなったと思ったら、今度はピタリと風の噂までなくなった。
まるでヤツの存在など、最初から無かったかのように。
元々国賊だから、あまり噂になられても仕事が増えるだけということは判っているが。
こうもあっさりと手の平を返されると、呆れるのを通り越して、清々さえしてくるわ!



どうせ馴染みの女のところにでも行っているのだろう。
それとも、どこぞの王墓の罠に引っかかって、無様な死体でも晒しているか?
まぁいい、俺には関係のないことだ。
アイツが姿を見せようと、見せまいと。
生きていようと、死んでいようと ―― 。
俺を、必要としまいと ―― 。



満月の蒼い光が差し込んでいたはずの寝台を、ゆらりと黒い影が覆い隠した。
「ありゃ? もう寝ちまってんのか?」
人がやっとうとうとと眠りかけたところを、ざらついた大きな手がそっと頬を撫でる。
「ん〜やっぱ、セトはいい匂いがするよなぁ〜。逢いたかったぜ〜♪」
「ん…ん? あ、バクラっ !?」
慌てて飛び起きようとして ―― だが既に腕も、身体も、唇も、容赦ないこの男に押さえ込まれている。
「寝顔もかわいーけど、やっぱ、起きた顔のほうが俺サマの好みだな♪ イイコにしてたか? セト」
「…っう、貴様、離せっ!」
「やなこった。あ〜セトの匂いがするなぁ〜♪」
流石に盗賊王と自称するだけあって、体術では俺に勝ち目は無い。
問答無用で薄衣を剥いでいくと、バクラは項に唇を落とし、きつく吸い上げた。
「王サマとかに手ぇ出されなかったか? お前ってば、めちゃキレイだから、俺サマも心配でよ…」
「馬鹿が…ならば、もっと…」
「ん?」
ええい、恥かしいことを言わせるなっ!
プイっと顔を背けると、何故か上機嫌で見下ろすバクラの視線を感じて ――
「よ…く、戻ったな」
「あん? ああ、ただいま♪セト」
「…おかえり…」



蒼い月明かりの差し込む寝台の上で、白い肌を晒して眠るセトに口付ける。
「俺サマだって、ホントはずっと側にいたいんだぜ?」
細い腕を取って、その甲にKissをして。
この身体も心も、自分のものだと確認して。
「でも…お前、キレイだからよ。ずっと一緒にいたら、ヤり殺しちまいそうでよ」
だからたまに手放して見るのだが ―― それさえも我慢できなくて、逢いたくなる。
「ま、こんな不規則な関係ってのも一興だよな? 馴れ合いなんざ真っ平だろ?」






Fin.

…なんでしょ? 何か良くわかんないけど、浅葱のバクセトの基本はこんな感じ。
ラブイチャなんだけど、セフレに近くて、永遠の恋人同士?
王サマとなら即入籍なんですけどね?

2004.02.09.

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