赤13:P.S. (闇遊戯×海馬)


出張から戻ってくると、机の上には一通のエアメールが届いていた。
表書きを見れば、よくこれで届いたものだと思うほど、たどたどしいアルファベット。
…はっきり言って、ヒエログリフの方が読みやすいぞ。

『海馬。ちゃんとメシ食ってるか?
 お前は仕事が忙しいとか言って、すぐに抜いたりするから、俺も気が気じゃないぜ。
 これ以上、痩せたら抱き心地が悪くなるからな。ちゃんと三食食って、8時間以上は睡眠を取れよ。
 睡眠不足はお肌の敵だぞ♪』

…何を言いたいのだ? あの年中発情期、セクハラ男は!

『バトルシティのあと、ゆっくり話しもできなくて残念だったけど。
 明日、俺は相棒たちと記憶探しの旅に出る。
 ホントはちゃんと逢って伝えたかったんだけどな。
 いや、せめて電話でもとか思ったんだけど…。』

どうせ、国際電話のかけ方が判らなかったとか言うのだろう。フン、庶民が!

『電話で泣かれると、流石に俺も決心が揺らぐからな。
 だからせめて手紙だけでも出しておこうと…。』

「誰が泣くか!!」
思わず怒鳴って ―― ええいっ、このまま破り捨ててやろうかっ!
だが ―― ゼーゼーと肩で息をつき、何とか気持ちを落ち着かせる。
「さ、最後くらい…読んでやるわっ! 読んだら抹殺してくれる!」

『今までも色々とあったけど、流石に今回は俺にもどうなるかわからない。
 もしかしたら、このまま戻れないかもしれない。
 もう二度と ―― 逢えないかも。』

3000年前の古代エジプトの若きファラオ。
歴史の闇に葬られた ―― 名も無きファラオ。
それがヤツの正体だと、何度か聞かされてはいたが、そんなオカルトまがいの話を、この海馬瀬人が信じるとでも思っていたのか?
フン、馬鹿馬鹿しい。
だが ――

『でも、俺は必ずお前に逢いに来る。戻ってくる。
 3000年の時が流れても、お前は俺のものだぜ、海馬。
 だから、お前も泣かないで待ってろよ。
 俺は絶対、お前を探し出して見せるから ―― 。』


『P.S. ――』


「…ん? この先は…?」
めくった次の手紙は、何も書いていない白紙のまま。
…まさかあぶり出しとか、すかしだとか言うまいな?
だが ―― 海馬コーポレーションの分析機器を総動員して確認したが、何も書いてなかった。



フン、コレだけの文章を書くのが精一杯だったというところか?
まぁ、ヤツならそれもありえるな。
「仕方がない…」
『P.S.』の続きがわかるまで、暫く様子を見てやるか ―― 。






Fin.

一応、闇海? ま、こんなんかなぁ〜?
バトルシティのあと、3000年の記憶探しに出る前です。
ま、うちの闇様なら、気合と根性で直に逢いに来るところなんですが、たまには手紙もいいかなと?
あの石版の返信ですかね?

2004.02.10.

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