赤16:BGM(海馬瀬人)


「人殺し!」
「貴様のせいで…!」
「俺の会社を返せ!」
それは、ちょっと前まで俺に向けられていた言葉。
剛三郎を自殺に追いやってKCの社長の座を手に入れた頃の ――
フン、くだらん。
負け犬の遠吠えなど、耳触りなBGMだな。



「キュ…」
ふと気がつくと ―― 目の前には三体の忠実な僕。
その姿自体が光を放つ、気高く美しい ―― 俺だけの聖獣。
「ブルーアイズ…」
これが他の魔物なら、非ィ現実だ!と拒絶するところだが ―― お前達なら現実と夢幻の境界など必要ない。
そっと手を伸ばせば、甘えるように俺にまとわりつき、尻尾を絡めて頬を寄せてくる。
無論、三匹が代わる代わる ―― だ。
「くすぐったいぞ、ジブリール。ほら、喧嘩はするなよイブリーズ。…アズラエル、どうした? こっちへ来い」
姿かたちでは区別できないと誰もが言う三体だが、俺にはその真実の名を間違えることなどできはしない。
永遠の僕 ―― 魂の半身。



現実ではない空間。
だが、ここに俺とお前達がいれば ―― それが俺にとっての現実。
「キュゥ…キュルルル…」
その背に俺を乗せ、優しく包み込み、全ての雑音から閉ざされる。
「少しだけ、眠る。誰か来たら起こしてくれ」
「キュ…」



秘宝のように美しい美姫が、三体の聖獣に守られて暫しの休息。
聞こえる鳴き声も、かすかな寝息も ―― お互いにとっての最高のBGM。






Fin.

癒し系、青眼×3。鳴き声は子守唄ですか?
社長…「ドラゴンの秘宝」状態です。

2004.02.17.

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