赤17:精神分裂症(闇遊戯)


辺りは漆黒の闇の閉ざされた、「どこか」という空間。
その中でただ一箇所、ぼうっと浮かび上がっている温かい光の存在。
俺はその光りの方へと歩き出し ―― 冷たい結界の存在に気がついた。
「やはりお前か…ブルーアイズ」
漆黒の闇と温かい光の境にいるのは、曇りのない空と同じ眼をした聖獣が三体。
傷ついた主を守るためならどんな労苦も厭わない、絶対の忠臣。
「海馬…」
光の中心にいる主は、俺の知っている海馬ではなくて。
バラバラに砕いた「心」という名のピースを、一生懸命につなげている幼い姿。
いつも高慢な態度も、気高く儚いまでの孤高もなく、ただ、一心不乱に没頭する姿。
勿論、俺のことも、自分を守ってくれている僕たちの姿にも気がついていないのだろう。
―― 辺りが、全てを飲み込む闇だということさえ。



「どけよ、青眼。俺が用があるのは海馬だ」
自分でもゾッとするほどの低い声でそう言えば、忠実な僕たちは主を守るべく鎌首を持ち上げて低い唸りを発してきた。
「グゥルル…」
「殺る気か? 別に俺は構わないぜ。ここで戦えば…今の海馬は簡単に壊れるからな」
そう ―― だからこそ、この忠実な僕たちは戦えない。
守備表示のままでターンを凌ぐしかない。
それが判っていて ―― 攻撃を仕掛ける俺も、サイテーだと認識できるところまでは正常だと思う。
但し、その光の中にいるキレイな人形を壊したいという欲望だけは拭えない。



俺が守ってやる。全ての苦しみや悲しみ ―― お前を傷つけるものから。
俺が奪ってやる。お前を守ろうとする、全ての優しいモノから。



守って、甘やかして、慈しんで。
奪って、傷つけて、苦しめて。



相反する心が、唯一つ共通するのは ―― その蒼が欲しいということだけ。
粉々に砕けたパズルのように、分裂した心が一つになるとき、
その答えがでるのだろうか ―― ?






Fin.

…暗いぞ、マジで。しかも意味わかんないし。
精神分裂症って言われても…遊戯王の主要キャラってみんな狂ってません?
一番分裂してるのは、多分、浅葱でしょうけど。

2004.02.22.

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