赤18:99パーセント(海馬瀬人)


―― 天才とは、1パーセントの才能と、99パーセントの努力である。



国語の教科書に載っていたその言葉を黒板に書き、新米教師は物知り顔でこういった。
『つまり、誰でも天才になれる可能性はもっているということです。どんな人でも努力をすることが大切ということ。判ったかな?』



フン、馬鹿馬鹿しい。
本気でそう思っているとしたら、とんでもなく能天気な輩だということだな。
例え、99の努力をしても、1の才能がなければ100にはならない。
そんな単純な算数もできないのか、この教師は ―― と、思いっきり侮蔑の目で睨んでやる。



そんな視線に気がついたのか ――
その新米教師がこれ以降の授業で、俺のほうを見ることはなくなった。
フン、他愛もない。
コレくらいで怖気づくとは、先が思いやられるわ。



この世の全ては「1」か「0」。
途中経過などどうでもいい ―― 結果だけが全て。
「ある」か「ない」か。
「できる」か「できない」か。



99パーセントの努力をしても、1パーセントの欠陥があれば100にはなれない。
100になれなければ ―― それはすなわち「0」と同じだ。
努力したことがすばらしいだとか、がんばったのだからなどという慰めは、この俺には必要ない。
結果が全て ―― それも、完璧な形での。
不完全なものなど必要ない。
途中経過など、意味もない。



だから ―― 俺は今日も「1」を求める。
完全な「勝利」を ―― 。






Fin.

…スミマセン…このたびの出展は、浅葱の崇拝する田中芳樹センセの「七都市物語」からです。
不遇の天才、クルガン様のありがたいお言葉…(ちょっと違う?)。
絶対オススメの一冊なので、是非どうぞ♪

…で、カンペキ主義の社長サマ。
従業員は今日も残業とみた…(苦笑:;)

2004.02.22.

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