黄01:45点(城之内×瀬人)


「…マジ?」
返ってきた答案用紙を見て、城之内はしばし呆然と佇んでいた。
(…まさか、500点満点とか言わないよな? うん、それはないか…)
「城之内…クン?」
流石にその様子に、遊戯も心配になったのか顔を覗き込んでくる。
ついでに本田もやってきて、
「なんだ、城之内、そんなに悪かったのか? ま、テストだけが人生じゃないぜ。一緒に追試で挽回しようぜ!」
と、バンバンと思いっきり背中を叩いてきて ――
「悪ぃな、本田。追試は遊戯とがんばってくれ!」
ふふん、と不敵に笑いながら、その答案用紙を目の前に突きつけた。
「え?」
「あ…うっそ…」
―― 城之内克也、45点。
20点以下は追試と冬休みの補修が決定だが、見事、今年は免れた城之内である。



「ほぅ…凡骨にしては中々だな」
余りの嬉しさに、わざわざ仕事場にまで押しかけて自慢しまくる犬に、海馬は殴り倒してやろうかと思いつつも、実行には移せないでいた。
本当に些細なことなのに、余りにも嬉しそうに報告してくる笑顔がまぶしかったから。
「マジ、お前のおかげだわ。ありがとうな、海馬。お前ってばマジに、勉強教えるのうまいわ」
「当たり前だ。そのくらいはとって貰わんとな。この忙しい時期に、わざわざ時間を割いてやったのだ」
「うん、マジでうれしいぜ」
全く犬のよう ―― だがその喜ぶ姿は、はっきり言って結構嬉しい。
どうしてもこの冬はバイトで補修など受けてる時間はないから、勉強を教えてくれと転がり込んできたのがつい二週間ほど前。
はっきり言ってクリスマス商戦突入の忙しい時期であったのだが、その真剣な頼みについほだされて ―― だが、そこは海馬である。
当然、超ハードスケジュールのスパルタ方式になったのは言うまでもなく ―― 。
「いやぁ〜一時はテストまで身体がもつかとも思ったけどな」
生きてて良かった〜と頷く姿には、なら殺してやろうか?と思ってしまう。
しかし、
「サンキュー、海馬。じゃ、オレ今日からまたバイトだから!」
そういうと、さっさと部屋を後にした。



「…ふん、言いたいことだけ言ったら、あとは構わんのか?」
海馬コーポレーションの社長室では、どこか照れたような若き社長が忌々しそうに呟いていた。






Fin.

今、赤点って何点からですかね?
浅葱のときは20点以下だったんですけど。
こういう学校の話題って…なんか遠くなってきたなぁ〜。

2003.12.10.

Silverry moon light