07.ゲーム (闇遊戯×海馬)


「俺のターン、ドロー!」
白くて細い指がカードをめくり、蒼い視線がチラリと動く。
「俺は、場のモンスター2体を生贄に、ブルーアイズホワイトドラゴンを召還!」
その瞬間、最強のしもべが溢れる光の中から降臨し、神々しいまでの姿を曝け出した。
「行け、ブルーアイズ! 滅びのバーストストリームっ!」
―― キシャーッ!
最強のしもべが、どう見ても嬉々として咆哮する。
勿論、狙いは海馬に立ちふさがる最強の敵。
青眼にとっては3000年来の宿敵でもあるが ―― そこは流石に3000年のツワモノである。
「トラップカード発動! マジックアーム・シールド! 海馬、お前のロード・オブ・ドラゴンを頂くぜ!」
遊戯のフィールドからマジックアームが出現し、海馬のフィールドからロード・オブ・ドラゴンを奪い去った。そしてバーストストリームの矛先はロード・オブ・ドラゴンに向けられ、海馬のライフポイントが削られる。
「ちっ、相変わらず小癪な手を…。俺はカードを1枚伏せて、ターン・エンドだ」
白皙をうっすらと紅潮させて、海馬の蒼い瞳が遊戯を、真直ぐに睨みつけてくる。
何とかこの場は凌いだものの、遊戯の窮地は相変わらずだ。
海馬のモンスターはドラゴン族最強のブルーアイズ。ロード・オブ・ドラゴンを撃破したため、魔法・トラップ・効果の対象にすることは可能だが、最後に伏せたカードが何らかのトラップか魔法カードであることは想像に容易い。
実際、目の前で踏ん反り返っている海馬の表情には絶対の自信が漲っている。
(尤も…自信をなくした海馬なんて、想像もできないけどな)
どんなに窮地であっても、絶対に己を ―― 己だけを信じて疑わないから。
どんなに不利な状況であっても、真っ向からぶつかり、力の限りで打ち砕くことをよしとするから。
だから ――
「オレのターン、ドローっ! オレはカードを1枚伏せて、クリボーを守備表示で召還! ターン・エンドだぜ!」
そう宣言すれば ―― 海馬は思いっきりいやな顔をして叫んだ。
「貴様! またそんなザコモンスターを出したなっ!」
「ザコっていうなよな。こいつとは相性がいいだろ? 海馬」
「 ―― っ!」
実際に、今までに何度となく苦湯を飲まされているカードだ。そのため、遊戯の持ちカードの中でも、はっきり言ってブラックマジシャンなどより、遥かに毛嫌いしているカードと言ってもいいくらいだ。
だが、
「どうした? お前のターンだぜ?」
「…フン! 俺のターン、ドローっ!」
忌々しげに見つめてくる蒼い瞳は更に輝きを増して、光の刃となって遊戯を貫こうとしてくる。
(そうだ、その目だよな。相変わらず、キレイだぜ♪)
例えデュエルの最中でも、いとしい恋人の艶姿(?)は見逃さず、遊戯は幾重にも罠を仕掛けていく。
取り澄ました顔も勿論キレイだし。
勝ち誇った高笑いも、勿論海馬らしい。
だが、その姿が最もキレイになるのは、こうしてお互いの知力をかけて戦うデュエルのときだから。
正々堂々と真っ向からぶつかって、粉砕してこそ得られる「秘宝」だから。
「くくく…思い知れ、遊戯! 俺は死者蘇生でロード・オブ・ドラゴンを特殊召還! 更にドラゴンを呼ぶ笛を発動して、手元から2体のドラゴン族を特殊召還!」
「げっ、まさか…(冷汗っ:;)」
「俺が召還するのはこの2体。出でよ、ブルーアイズ×2!」
―― キシャーっ!!
「そして、行け、ブルーアイズ! 滅びのバーストストリーム、3連弾っ!」
―― ドッカーンッ!!!



そもそもは…ラブラブ罰ゲーム目当てのデュエルだったのに。
最強のしもべを3体も侍らせたお姫様には、悪い虫の付きようもない。
「ワハハハっ! 思い知ったか、遊戯! 貴様の下心など既に読んでおるわっ!」
細腰に手を当てて高笑いをするお姫様に、今回ばかりは敗北宣言せざるを得ない遊戯だった。





Fin.

勿論、遊戯のデッキには「ドラゴン族封印の壺」も入ってます。
でもね〜これを使うと、あとの罰ゲームで社長が拗ねちゃうんですよ〜。
…っていうか、我が家では私がキレます。(苦笑)

多少、ルールが違ってるかもしれませんが、そこは愛嬌vということで。

2004.07.11.

Atelier Black-White