Manipulation

Manipulation(名詞):[巧みな扱い、細工、ごまかし]
→Manipulate(動詞):策を弄する
Room No.2 〜克己&龍也〜

「ねぇ、加賀山さん〜。龍也くんってどんな方かしら?」

ひとつ目の部屋の細工が終わり、昼食を取ったところで作業は再開された。
次は加賀山の直接の上司であり、藤代組3代目・藤代 龍也と、その恋人で医者の本条 克己が使用する予定の部屋である。

「どんなって・・・そうですね、死神って呼ばれてます。容赦ない人ですから」
「新年会のメンバーで龍也くんを知らないのは私と若葉ちゃんだけなのよね。あざみちゃんは何故か知っているみたいだったし。・・・一度は会ってみたいわ」
「・・・もし会ったら龍也くん、とは呼ばない方がいいと思いますけど」
「あら、どうして〜?」
「それはどういう意味かしら?!」
加賀山はふたりの迫力にたじろぐ。迫力があるのは専ら万吏也だが、若葉は常に微笑んでいて、どうしてか逆らえない気にさせられる。
「いや、あの・・・」
「龍也くんは確か23だったわね。23なんて若造よ?くん、で充分だわ!」
加賀山の言いたいことなど最初からわかっていた万吏也。
「それより、絶倫って本当なの?雅さんが話してらしたんだけど・・・」
「ええ、まあ。克己先生には特にそうだと思います」

やっぱり・・・!会ったこともないんだけど負けるわけには行かないのよね。
魁にしっかり言って(脅すとも言う)おかなくちゃ!
万吏也は、ヘンなところで負けず嫌いだった。

「あの、何かヘンなこと言いました?」
万吏也はさっそく魁をその気にさせる策を練り始め、自分の世界に入り込んでしまった。
「万吏也ちゃんはね〜、負けず嫌いなの。きっと息子の魁くんが龍也くんに負けるのが嫌なのね」
「・・・何の勝負ですか?」
「う〜ん、一日の回数とかかしら?雅さんが龍也くんのことを絶倫って言ったら魁くんは精力満々だ、って対抗していたみたいだし・・・」
勝負って。・・・勝負になるのか? ・・・若は克己先生相手だと本当に化け物だからなぁ・・・。

「この部屋の調度品・・・高価な物ばかりですよね?」
既に3つほどカメラを設置した主寝室を眺め、加賀山は尋ねた。
「高価かどうかはわからないけれど、全てヨーロッパのインテリア作家の一点ものよ?」
「・・・変えといた方がいいと思いますよ、安物に。若はあるものを持ち歩いてますから」
「「あるものって??」」
ふたりの女性に耳打ちする為に、加賀山はふたりに近付く。
「「・・・!!」」
ふたりは始め、驚いて声も出なかった。
「そんなものを持ち歩いてるですって!危ないわよっ!」
「持ち歩けるものなの?それって・・・。龍也くんって力もちなのかしらね?」
万吏也が憤慨する中、若葉は勘違いな物を頭に浮かべていた。

「じゃあ向井にこの特別室のチケットを用意させるついでに、ここのソファとか、テーブルとかを他のものに変えればいいのね?」
「はい、出来ればそうしてください」
加賀山にそう言われ、若葉はすぐに連絡を入れた。

「あそこのビルの屋上、ここと丁度いい高さですね」
加賀山はあるところに目を付けた。
もし龍也にカメラなどの存在がバレて、それらを破壊された時に備えて。
「あれは彰子さんのところのビルよ。屋上、使わせてもらうんだったら頼んであげるわ」
「アレを使われた時の保険を掛けときましょうか。お願いします」


そして、この部屋の細工も先程の部屋と同じくらいの時間で仕掛けは住んだ。
主寝室にワザとカメラを仕掛け、もうひとつの寝室には敢えて何もしない。
これこそが加賀山の作戦だった。
予定している3カップルの中、一番の高確率でカメラを発見するのは龍也だろうから。

さて、あとは神のみぞ知る―――。

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