合鍵をどうぞ 07


白い肌のあちこちに啄ばむような痕を付ければ、そのもどかしい感触に祐介は身もだえするように身体を振るわせる。
そして、プッツリと立ちあがった胸の飾りを口に含むと、
「やぁっ…ああん…」
一際高い声を洩らして、身体を仰け反らせた。
「感度が良いな、祐介。胸を弄られるのが好きか?」
「やだっ…恥かしい…言わないでっ…」
真っ赤に染まっているのは最早その顔だけではなくて、全身が歓喜に震えて熱を帯びている。
もはや祐介の全てが性感帯のようで、カクカクと震える足は無意識に尚樹を呼び寄せようとシーツを蹴っていた。
「こっちも欲しいだろ?」
「やぁっ! …あっ…あ…ん…!」
両の手を右手で一まとめに押さえつけて、胸の飾りを舌で転がしながら左手は祐介の中心をゆっくりと追い上げて。
既に先走りの蜜が滲み始め、弄る尚樹の指を濡らしている。
「やっ…あ…ん…せん…ぱ、いっ!」
自分でもそんな弄り方をしたことがない場所をゆっくりと追い上げられて、祐介はゾクゾクと駆け上がってくる快感に流されまいと身を硬くした。
しかし、
「え? あ、や、ヤダっ! 先輩、やめっ!」
しびれ始めた腕を開放されたと思った瞬間、クチュっと生暖かいモノにソコが包まれて。
見れば尚樹が祐介の蜜を舐め取るように、口に含んでいる。
「やっ、先輩っ! そんな汚いですっ!」
「いや、いい味だ。全部俺にくれ、祐介?」
「ひっ…やぁっ…ああっ!」
祐介自身を口に含んだままそう懇願して、軽く歯を立てて吸い上げれば、祐介は羞恥に震えながらもあっさりと己を解放していた。
ビクッビクッと身体が震えるたびにソコから蜜を吐き出して、その全てを余すところなく尚樹が吸い上げる。
「やだっ…ヒド…こんな…恥かしい…」
切れ切れに洩らす言葉は余りの羞恥に涙声で。
しかし、尚樹にはそんな泣きじゃくる姿すら愛おしいと思ってしまって。
「可愛いな、祐介は。本当に可愛いよ」
「ひっ…く…こんな…僕、淫乱ですか?」
「馬鹿だな。何も心配しなくていい。素直に俺を感じて、全部俺に見せてくれ。お前の可愛い姿を、な」
そう囁くとくるりと祐介をうつ伏せにし、腰を上げさせて双丘に手をかけた。
そして、まだ硬く閉ざされた蕾に舌を這わせ、ゆっくりと唾液で解していく。
「あっ…ん…やっ…やだっ…そんなトコ、見ないでっ!」
ただ見られているだけではなく、ピチャリという水音まで立てて舐められて。
余りの羞恥に力が抜けて、却って腰だけを高く空に突き上げた格好になって。
「恥かしがらなくていい、祐介。お前はどこも本当に可愛いぞ」
そう言いながら片手で再び祐介自身を弄れば、一度解放してしまったそれが立ち上がるのは容易いことで。
「やっ…ああっ…ん…」
滲み出る蜜は糸を引いてシーツに染みを作り、後ろの蕾も尚樹を誘うように綻び始めた。
「もうちょっと我慢しろよ?」
「え? あ、何…やっ、やだっ!」
自分の指を唾液で濡らして祐介の蕾にゆっくりと差し入れて、その違和感に祐介は背中を仰け反らせて拒絶を示す。
「やだっ、痛っ…」
かなり丹念に解したつもりだが、やはり最初はきつく閉ざすようにしめあげてくる。
仕方がなくそれ以上奥へは入れないようにもう片手で祐介の前を弄りながら、尚樹は小さな身体に乗り上げて耳朶を甘噛みした。
「やぁっ…!」
途端に襲い来る三重の刺激に祐介の身体が一瞬弛緩して、くちゅりと音を立てて尚樹の指を飲み込んでいく。
その隙に尚樹が祐介の最奥を擦るあげると、
「はぁ…んんっ! あっ、な、何? やぁっ!」
「ん? ココが良いのか?」
痛みが吹き飛んでなんとも言えぬ快感が背中を走りぬけた。
締め上げる内壁は淫らに蠕動してソコへと尚樹を導こうとして、
「ちょっと我慢しろよ?」
そういうと、尚樹はことさらゆっくりと指を引き抜き ―― 比べようもない楔を深々と埋め込んで行った。



白いシーツの上に祐介の身体を降ろすと、尚樹はその額にそっと口付けを落とした。
「ん…先輩?」
気だるげにうっすらと目を開けるが、9割方は夢の中である。ふわりとした笑顔を浮かべて布団を引き寄せた。
「そんな顔をすると…また襲うぞ?」
「ん…あとで…ね」
まるで子猫が甘えるような声で囁いて、そのままスッと眠りについてしまう。
そんなあどけない姿は本当に可愛くて。
つい今しがたまで、自分の下で淫らに乱れていた同一人物とは到底思えない。
深々と自分を飲み込んで、快楽に身を委ね、あられもない嬌声を上げながら歓喜に震えていたとは ―― 。
おかげで口では「襲う」なんて言っても、到底手出しはできやしない。
(とはいえ…流石に拙いよな?)
チラリとベッドサイドの時計を見れば、時刻は既に22時。
年端の行かない子供ではないと言っても、流石にこの時間まで家に何の連絡もなしというのは拙かろうと、尚樹は覚悟を決めて連絡をしておこうと携帯に手を伸ばした。
「ん? メールが来てる?」
二つ折りの携帯を開くとそこにはメール着信の表示があり、尚樹は確認して ―― 苦笑した。
「クッ…本当にタイミングが良いな。日ごろの行いか?」
このタイミングの良さには苦笑するしかないところであるが、それでも念のためと返信を打つと、尚樹はベッドにもぐりこみ、祐介の小さな身体を胸に抱いて目を閉じた。



『こんばんは、尚樹さん。急に仕事が入って、ちょっと留守にします。邦彦さんも出張でいないから、祐ちゃんをよろしくね♪ 繭美』


『了解しました。今夜は自分のところで大切にお預かりします。 尚樹』


因みに、繭美というのは祐介の母親である。



そして、翌朝 ――
「私って、本当に兄思いの良い妹よね〜」
そんなことを呟きながら、利恵はコーヒーを沸かし朝食にサラダとハムエッグを作りあげた。
流石にトーストは焼きたてが良かろうと、トースターにセットしたのみである。
そしてそっと寝室のドアを開け、持ってきたデジカメを構える。
(ま、これだけしてあげれば…このくらいは役得よね)
うんうんと内心で頷いて、パチリとベストショットをカメラに収める。
そして、
「…じゃ、またね♪」
と囁いて部屋を後にした。



誰もいなくなったキッチンには、二人分の朝食とメモが一枚。
『ママから預かった合鍵を置いていきます。祐介お義兄さんにもよろしくv  利恵』






Fin.





06


お待たせいたしました。Kouさまよりの11,111Hitリクエスト作です。
お題は「tears」の尚樹&祐介の初めての夜。もちろん18禁でv とのこと。
場所などはお任せ〜と言うことでしたので、とりあえず場所の確保から入らせていただきました(笑)。
克己の使っていたものさえ他人に貸すのは許さない龍也も、友情出演。(笑)
そして、流石の尚樹も、祐介のママ(繭美さん)&利恵ちゃんには適いません。
出来上がっている朝食とメモを見て、「マンション住まいになって一安心したと思ったのに」〜と
青くなったことは間違いなし。

ちょっとジェットコースターストーリーになりましたが、ご笑納頂けますと幸いです。m(__).m

初出:2004.04.26.
改訂:2014.09.28.

Dream Fantasy