Ultimate Guardian 03


昼近くになって再びセトが目を覚ますと、
「お休みのところ申し訳ないのですが…」
そう言ってセトの元へ現れたのは一人の美しい女神官だった。
「…何か用か? アイシス」
「ええ、おそらくセトならご存知かと思いまして」
ニッコリと微笑みながら寝台の側に佇むと、アイシスは
「ファラオの居場所をご存知ありませんか?」
「…知らん。今日は会ってない」
咄嗟に何故俺に聞くと言いたいところだが、言えば更に薮蛇になりそうで。
だからそう応えるとプイっとそっぽを向いてみせたのだが、
「おかしいですわね。夕べはずーっとご一緒でしたのでしょう?」
「な…好きで一緒にいたわけではないわっ!」
既に何もかも知っていますと言いたげなアイシスの台詞に、図星を指されたセトは真っ赤になりながらついうろたえてしまった。
「まぁ、セトったら、素直じゃありませんこと」
その上、随分艶っぽい声でファラオの名前を呼ばれていたようですけど?などと言われて、
(貴様、スピリアで見ていたなっ! ならばあの馬鹿王の暴走を止めんかっ!)
遠隔透視能力を誇るスピリアであれば、同じ王宮の敷地内での睦言など隠しとおせるものではない。
それでも、本当にユギの居場所など知らないから。
「あ、朝、目が覚めたら既にいなかったわっ!///」
どうせ町にでも出て遊びほうけているのだろう、あの馬鹿王は!と呟きながら、ふつふつと怒りがこみ上げてくる。
そもそも今こうして寝台から起き上がれないでいるのも、あの馬鹿王が暴走したせいだ。
折角バクラが失われた魔道書の一部があるらしいという情報を持ってきてくれて、そこへ出かけようとしたのをジャマした挙句、一晩中その…///。
尤も、バクラの言っていた情報は、ユギが言うには嘘八百ということらしいが、それにしても…
(あの馬鹿王め、この俺を好き勝手しただけでは飽き足らず、また城下に出て遊び呆けているというわけか! ええいっ、どうしてくれようかっ?)
そう思えば ―― アイシスの存在など既にぶっ飛んで、ソレ相応の報復に没頭するセトであるが、
「そうですか…ということは…」
ふと思いついたように
「では、貴方の精霊に聞いていただけません? どこに捨ててきたのですか ―― と」
「何?」
それまで何事もなかったかのように大人しく伏せていたブルーアイズ・アズラエルだが、セトとアイシスの視線を受けて、クイっと首を持ち上げた。
「キュゥ〜?」(え? 言わなきゃダメですか?)
「できたら教えてくださいな。ついでに寝台の下に隠してある千年錐と…仕方がありませんから、千年輪も私に預けてくださると助かりますわ」
「…」
「一応、アレでもファラオですし。盗賊王も使い方によっては使えますのよ」



仕方がなく、渋々捨て場所を白状したアズラエルだったが、そのかわりアイシスのご達しでファラオは暫く神殿に禁足令、バクラはとある国の内情を探るまで国外追放になったらしい。



「キュウ…キュルル?」(今度は重石をつけて…ナイルに沈めてみてもいいですか?)
「ま、そのくらいで死ぬようなファラオと盗賊王でもないだろうしな」






Fin.




Ultimate Guardian 02

当サイト11,111Hitに優希サマからリクを頂いたものです。
お題は、「青眼白竜×瀬人orセト(瀬人andセトでも可)で王様やバクラも登場すると嬉しいです」だったので、
バクラも出てくる古代バージョンです。

ホントはね〜、セト様の湯浴みはアズラエルにやってもらおうと思ってたんですけどね〜。
流石にそれは「鬼畜」に走りそうなので。(←何故、そっちへ!?)

優希サマ。思いっきりお待たせしましたがご笑納いただけますと幸いです。

初出:2004.11.13.
改訂:2006.07.19.

ぐらん・ふくや・かふぇ