Resurrection 00


「薔薇戦争」とは、ともにイングランド王家の血筋を引く赤薔薇の紋章を持つランカスター家と白薔薇の紋章を持つヨーク家が、30年にわたって王位を巡って争った戦争である。

事の発端は ―― エドワード3世の孫で正当な後継者であったリチャード2世がランカスター家のヘンリー4世により玉座を奪われたことに始まる。

ヘンリー4世の息子であるヘンリー5世は武勇にも優れていたが急逝し、次に玉座に着いたのはわずか1歳のヘンリー6世であった。
しかし幼くして王座に着いたヘンリー6世は心身脆弱で政治を省みなかったため、その隙をついて反乱を起こしたのがヨーク公リチャードである。

そもそもヨーク家はエドワード3世の第三子の血筋である。
そのため長子相続から言っても第四子の血筋であるランカスター家よりもヨーク家のほうが玉座に近いというのが大儀名文であった。

勢いに乗ったヨーク軍は「セント・オールバンズの戦い」でランカスター軍を破り、ヨーク公リチャードの長男であったエドワード4世が玉座につくことになった。

ところが、一時はランカスター家を壊滅寸前まで追い込んだヨーク家であったが、その後エドワード4世が病に倒れたことにより、自滅への道を突き進むことになる。
次に玉座に着いたリチャード3世は、その王冠を手に入れるために、自分以外の王位継承者を謀略によって悉く排除したのであった。

一方のランカスター家は、先の戦いで後継となる男子を全て失い、残ったのは幼くしてフランスに亡命していた分家ボーフォート家の姫マーガレットの息子ヘンリー・チューダーただ1人となっていた。

そして、薔薇戦争の最後の戦い「ボズワースの戦い」が今まさに始まろうとしていた。






Resurrection 01


初出:2003.11.05.
改訂:2006.07.19.

Atelier Black-White